豊田満夫さんのお話

「手拭クリエイティブ2010」の会場で、
豊田満夫さんの特別セミナー「手拭デザインよもやま話」を、聴いてきました。

http://tezome.com/tenugui2010/


豊田満夫さんは、てぬぐいコレクション・研究の第一人者です。


昭和27年、いまも日本橋にあるてぬぐい問屋「戸田屋商店」に、
住み込みの従業員として入った豊田さん。
ちょうどその頃、戦争で布かれていた綿統制が解かれたこともあって、てぬぐいは大人気。
丁稚奉公の小僧さんとして、
いまのような通信手段の無い時代、お店とお得意さんのところを自転車で何往復も走り回ったりと大忙し。
そんななか、工夫と努力で自分のお客さまをつかんでいった豊田さんは、
やがて、てぬぐいの注文を受けるときの資料として、てぬぐいを集めはじめます。
その数、いまや1万本以上。


現在、フリーでてぬぐいやゆかたの制作、講演会などのお仕事をされているのですが、
戦後から今日に至るまでの、てぬぐいの歴史の生き字引のような方ですので、
みせてくださるてぬぐいも、お話も、ほんとうにおもしろいのです。


しかも今回の催しでは・・・無料、なんですよ?


なんてこった!


次回、3月13日(土)13時から、講義がありますので、
お時間とご興味のあるかたは、ぜひとも!


わたしも、もういちど聴きに行きます。
そのために、今回聴いた内容を、まとめているところです。
質問できるところがあれば、ぜひ教えていただきたい・・・。

 
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豊田さんのお話をうかがっていて、いいなぁ、と思うのは、
昭和30年頃の下町では、お正月にはみんな、町内・ご近所さんのところに新年のごあいさつにまわってたこと、
そのときに「お年賀」と書いた熨斗紙をかけたてぬぐいを差し上げたりもらったりして、
町内ぐるりとまわると30本くらい、1年分のてぬぐいが手に入った、というところ。


時代が流れて、お正月に旅行に行くなど留守にする家庭が増えて、
あいさつまわりが減るにしたがって、お年始のてぬぐいも減っていってしまった。
それまでは、商店などはオリジナルの図案でてぬぐいを作っていたし、
一般家庭でも、白木屋さんなんかで、あいさつ用のてぬぐいを用立てていたそうで・・・。


いいなぁ。
今年もどうぞよろしく、と、熨斗紙にくるんだてぬぐいを渡しあう光景。
持って帰って、あそこん家のはしゃれてるわ、OOさんとこはあいかわらずね、なんて、言い合うんでしょうね。
いただいたものを、どこに使うか考えるのも楽しそう。
家族全員それぞれのてぬぐい、おひつにかけるてぬぐい、洗面所の手ふき用・・・。
遊びに行った先で、自分ちのてぬぐいがお手洗いの手ふきになっててショック受けたりとか・・・
どうだろう、そんなことも、あったのかもしれませんね。


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なな梅という屋号でてぬぐいを作ってますけども、
自分のデザインを使ってほしい、見てほしい、という気持ちは、実は、あまり無いんです。


かつての日本の普通の風習だった、庶民のお付き合いと心づかいの道具だったてぬぐいが、
いまでも普通のものとして、たくさんのひとに使われるようになるといいのになぁ、と・・・


ごあいさつてぬぐい、復権させたいなぁ、と・・・
ごあいさつ用のてぬぐいを作りたい、という方の、お手伝いがしたいなぁ、と・・・


だいそれたことを言っていますが、目指すところは、そこなのです。


いまのところ、注文てぬぐいは、承っておりません。
主に身内、知り合いの方からご相談いただいた分に対応するので精一杯な状況で・・・。


ご相談、ご注文を承れる知識と技術と体制をつくることが、今後のおおきな目標です。